作品画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。
竹本悟史
「便り」
鉄道の郵便車が運ぶ手紙や郵便小包。
それを心待ちにする、ボンネットを被った一人の少女。
小さな地方の駅から駅へ、今日も宛先の相手に向かって、列車は郵便物を運んでいく。
鉄道雑誌やイラスト技法書を参考に赤鉛筆を執り、アニメ「ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン」の余韻に浸りながら、紙に描いていった。
赤鉛筆だけで描くのは、作者が普段からイラストや漫画の制作で用いているものである。
晴野幸己
「ワタシの頭はどこ?」
解離性同一性障害。
俗にいう多重人格の正式名称。
自分を見つめるのは怖い。
トラウマが蘇るからだ。忘れてしまいたくて、都合よく記憶喪失をした。
その結果、私は自分の存在ごと忘れてしまった。
自分など、ゴミ以下だ。自分の存在もいらない、忘れたい。どうでもいい。
だけど、そうやって自分を忘れたところで何も解決しない。
ただ、違う自分が生きることになるだけ。
その時分は違う。
私じゃない。私?ワタシって、何だ?
忘れてしまった。
自分というものがわからなくなってしまった。
困ってしまった。
今さらになってワタシは自分を探している。
ワタシは、私を守るために存在しているのに、守る私をなくしてしまった。
どこ?
ずっと探している。
体が痛いよ、声が出ないよ。
これは私の体じゃないから。
ごめんね、守れなくて。